フランスの美しい村は、フランスは南西部、地域圏でいいますと、ミディピレネー、アキテーヌ、ラングドック・ルーション地方に集中しています。プロヴァンスにも多いです。
フランスといえば、パリとかプロヴァンス・コート・ダジュールという印象が強いのですが、中世の歴史を存分に味わえかつ典型的なフランス料理のルーツともいえる料理に気軽に出会えるのも南西フランスのエリアだと思います。
そんな南西フランスの美しい村を旅しているとき度々見かける用語が「Bastides(バスティード)」
例えばこのようなHalle(アル)が中央広場にあったりするのもバスティードの特徴のひとつでしょうか。
ということでバスティードがなんとなく都市形態のことを指すことは知っていたのですが、あらためて勉強してみると面白いなあと思いました。
特にフランス南西部の村の歴史を調べていると、村のルーツが中世にあり、しかも頻繁に「イングランド」との関わりがあることがわかります。
この本を知ったきっかけ
モンパズィエのblogを書いている時、頻繁に遭遇する「バスティード」についてちょっと調べてみようかなあと思ってググったところ、こちらの研究室がヒット。
バスティード | 東京大学大学院 伊藤研究室〔都市・建築・歴史〕 http://itolab.org/research/bastides
このサイトのページで使用されているバスティードの街の写真が、どうもモンパズィエの写真ぽかったんですよね。そこでさらにネットでいろいろ調べていくうちにこの本の存在につきあたりました。
中央公論美術出版 2009-08
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こんな素敵な本が出てるんですねー。
バスティードとは
さて、以下はこの本から一部引用して書いてみます。
バスティードとは、13世紀半ばから、およそ100年間にかけてつくられた一軍のヨーロッパ中世新都市のことで、約300から500の都市が確認されている。そのなかでもアキテーヌ地方をはじめとする南西フランスに数多くのバスティードが建設されていて、その数およそ300といわれている。
バスティードは英仏対立期およびフランス内緒権力の再編期を背景として建設された都市群で、フランス王、アキテーヌ公となったイングランド王などの王家、トゥールーズ泊レモン七世、アルフォンス・ド・ポワティエなどの世俗領主・諸侯らが建設した都市ということになる。
(出所:バスティード―フランス中世新都市と建築より)
この本で取り上げられているバスティードは、いくつかありましたが、
- ソーヴテール・ド・ルーエルグ
- モンパズィエ
- モンフラカン
の3つのバスティードは、いずれもフランスの最も美しい村に選ばれており、僕もこの5月に訪れています。
旅行記が書けているのはモンパズィエだけかな。
本について
こちらの本では、バスティードという形態の定義から、バスティードが形成さらた経緯と歴史について、そして詳細な建築設計等、バスティードに関係する多岐にわたる解説がなされています。
なかでも興味深かったのは、パレアージュと呼ばれる契約の一種の存在。パレアージュでは、バスティードの建設予定地を提供する領主や教会と国王や役人などの入植や新たな定住地の保護を保証する勢力との間に締結される契約の一種とのこと。
こうした契約社会がいかにも中世ヨーロッパ的だなあと思いました。
さらなる詳細を知りたい方は是非実際にお手元にとってご覧いただければと思います。
という僕もまだすべて読めてはいないのですが、これからじっくり読んでいろいろ知識をつけたいです。